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【オメガヴァンパイア】感想 #2

オメガヴァンパイア DVD通常版

オメガヴァンパイア DVD通常版

  • 発売日: 2017/10/27
  • メディア: DVD-ROM
 

 前回の続きです。

 

3)源馬ルート

 抱いて! 終始いい人で一貫していました。Ωのフェロモンに当てられつつも強靭な理性で手を出さず、人血も飲まない源馬さん、かっこよかったです。刑一の妄想でエロを挟んでくるのは笑った。

 黒船来航とともに日本にやってきたハインリヒにヴァンパイア化され、色々あった後に人血を吸うのをやめ、人間とヴァンパイアの共存に取り組んでいる人。精神力の塊みたいな設定ですね。前回プレイした碧井ルートが人間・研究寄り、白狼ルートが世界観と離れた個別カプルートだったのに比べ、世界設定、ヴァンパイアのことに触れられていたので、最初にプレイしても良かったなと思いました。

 刑一に対して保護者然としていた源馬の気持ちが変わっていったのが、結局「Ωの発情期に当てられたからでは?」という気はしましたが、ノスフェラトゥ無きあとの始末など、その後の情勢まできちんと締められていたのがよかったです。

 また、GOOD ENDもさることながら、SAD ENDが好きでした。α同士のカプで、番になれないもどかしさ、Ωへの脅威を感じている・・・みたいな話、オメガバース設定ではないBLでもありますよね。αΩの関係と違ってより対等感があるというか、番システムに頼ることなく関係を築かなければいけない面倒臭さを感じて、割と好みです。

 ただ、源馬ルートのMVPは有村さんオメルタでは脇カプ、モブレなんでもござれでしたが、今作はそのあたり、割と抑制気味。にもかかわらず有村さんだけはおもちゃで弄ばれていて、作り手の性癖を感じました。あのあと、ファイトクラブでは素っ裸のまま戦ったんでしょうか。

 

 独特の疾走感あるシナリオになんとなく満足した部分もある一方、よくわからなかった点も盛り沢山でした。

 例えば、日本におけるヴァンパイアについて。後述のハインリヒルートをみると、ヴァンパイア自体はかなり以前から存在していた様子。でも、日本に入ってきたのは黒船来航のタイミングって、ちょっと不思議な感じがしました。また、エクスブラッドをきっかけにヴァンパイアが社会で表面化したと言う割に、社会受容が早すぎるという点は、前回と同様の感想です。

 ブラッドベリーについては、「治癒効果+発情効果がある」という割に、場面によって都合のいい効果だけが発現しているような気も・・・? 量の問題なのかな。
 ブラッドベリー関連では、碧井ルートではブラッドベリーに手を出したのは豪沢で、源馬ルートでは不渡が手を出したような話だったと思うので、ルート間で展開が違うような感じがしたのが気になりました。これは読み飛ばしかもしれません。

 あとはソサエティ本部も不思議でした。ダニエルの方がハインリヒよりも格上とのことで、ハインリヒの危険性を考えたら、ダニエルに出動してもらってればα刑一が出る幕はなかったのでは。まあ忙しかったんでしょうね。

 上記は世界設定の話ですが、源馬関連では、龍之介との関係も知りたかったなと。龍之介を血液袋にしつつ、彼の死をきっかけに人血をやめた、みたいなことでしょうか。ハインリヒと全国行脚していた頃の話といい、もちろん全てを描写するのが良いというわけではないと思いますが、もう少し知りたかった…。

 BAD ENDの自己増殖も、なんかヤバそう、という形で終わっていたものの、何がどうヤバいのかが分からず、もやもやしました。しかも源馬さんが関係ないので、源馬BADは実質不在という。

 他のルートにも言えることですが、設定チラ見せはしているものの、チラ見せされているパーツを繋いでなにか大きな全体像を描けるわけではない(描けるほどの情報はチラ見せされていない)ので、どうにもシナリオのもどかしさがあります。

 

 4)ハインリヒルート

 キャラビジュアル的には最推し。公式のサンプルCG以外も最高でした。筋肉エッロ! ちんちんでっか!

 悪役として登場しつつ、ヴァンパイアになった当時の悲劇、贖罪の気持ちなどが描かれていく中で、刑一が徐々に心変わりしていくという展開。割と王道な感じでした。

 他ルートでのオメガバース設定は、刑一を万年発情期にすることで、特に関係性を深めることなくエロに持ち込むためのトリガーとして機能していたように思いますが、ハインリヒルートでは妊娠の部分も使われていました(もちろんエロトリガーも)。妊娠する必要があったかはともかく。

 最後の展開、喧嘩しているうちに妊娠が発覚して、「いやごめん! 喧嘩なんかしてる場合じゃなかった。お前もっと身体労れよ。俺も大事にするからさ」的ななし崩しで終わるので、普通に笑いました。EDも他キャラ含めて大円団で、うん、なんかまあよくわからなかったけど、よかったね、という暖かい気持ちに。

 意外だったのがハメ殺しBADがなかったこと。こういう性欲全開キャラのBADって、だいたい受けが「おちんちんだいすき♡ もうらめ♡」ってなる展開がありませんか?? 今作はSADもBADも死にネタや悲壮感ある内容だったりと、エロ展開のものはほぼなかったように思い、オメルタからするとちょっと意外でした。

  一番の見所は魔夜峰央が出てくるシーン。真面目なシーンなのに、思わず翔んで埼玉の公式HPを開いてしまいました。

 

 で、このルートもやっぱりよくわからない点、もやもやする点も多数。

 源馬ルートの後にハインリヒルートを攻略したので、α刑一とハインリヒの力関係がまったく謎でした。ハインリヒルートでボロ負けするα刑一を見て、いやおまえさっき源馬ルートで無双してたやん、と。個人的にはルート間での整合性が取れていないのって、ちょっと気になります。

 EDでは、刑一が妊娠してなんとなく丸く収まっていますが、ファイトクラブの問題なども山積。あくまでも出場希望者が戦っているから良い、という建付けなのでしょうか。でも、本編の前半で、無理やり連れてこられた人が戦っている、みたいな設定もありましたよね。ソサエティ的にいいのか? ハインリヒはキャラビジュアル的にめっちゃ好みなのですが、人間の倫理観的にはファイトクラブ等々の件が精算されていないことがスッキリしませんでした。

 ハインリヒの倫理観も謎です。人間牧場を作っている割に、第9区での古谷の行いにはめちゃくちゃ切れると。やっていること、変わらないと思うんですけどね。このあたり、オメガヴァンパイア全体を通して、ノリと勢いで突っ切ってしまっている感じがします(まあ刑一がそういう子なので・・・)。オメルタのときはあまり気にならなかったのですが、オメガヴァンパイアはベースとなる設定が色々存在しそうなだけに、シナリオの粗が目についてしまいます。